最近、DCCなる言葉が模型界を賑わしています。DCCすなわちデジタルコマンドコントロールです。簡単に言うとDCCシステムでは、通常の走行電流の代わりに車両を制御するための情報を含んだパルス状の電流を流し、これを車両に搭載したデコーダとよばれる部品が解読し、モータを制御します。従来方式と比べて、DCCシステムではリバース区間以外ギャップが不要、重連や続行運転を2人の運転手で楽しめる、同一エンドレスを2輌の動力車が逆方向に走行できる、複雑なコントロールボードが不要、等の特徴があり、応用によっては無限の可能性を秘めていると言っても過言ではないでしょう。DCCシステムの規格の詳細はNMRAが策定した、DCC Standards and Recommended Practicesにありますので、一度アクセスしてみることをお薦めします。
レポート | 配 線 | デコーダ |
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導入始末記 | N車両(GM)に積む | |
溶損事故 |
とある運転会でH氏がDCCのデモを行ない、「これは使える!」と思いました。本稿は、私が初めてDCCシステムを導入した時のレポートです。
2000年6月に開催した「こだわりの運転会7」で、DCC制御下のHOmモジュール上で車両と線路の溶損事故が発生しました。幸い大事には至りませんでしたが、どのような状況下でこのような事故が発生したのかのレポートです。
溶損事故は、モジュールの分岐器と停車線の間のギャップ上で起こりました。次の図が電気的な概略図ですが、図上右が分岐器、左が停車線となっています。本事故は幾つかの要因が重なっておきました。
このような状況で事故が発生したのですが、DCCシステムは常に線路にパルス状の電流が流れており、線路上に存在するデコーダは、常にその信号を受け取って解読しています。事故発生時、フィーダSWがOFFになっていたので、DCC信号はギャップを跨いだ台車を通じて、機関車のデコーダに流れていました。図の赤線がその流れです。そして運悪く、ギャップを跨いだ台車の接触抵抗が他に比べて大きく、ここで過大な電圧降下が発生し、結果ジュール熱で溶損事故に至ったと考えられます。
以上のことから、我々は以下の教訓を得ました:
先ずは動力ユニットを分解します。ダイキャストブロックに挟まれているコンデンサは不要なので取り外します。この時、モータの上下が判るようにマーキングしておきます。どちらかを「前」と決めて、右側のブロックに接触する端子に橙のリード線、左側に灰のリード線をハンダ付けします。
製品は、モータ端子が絶縁シートの外側に出ていて、左右のダイキャストブロックと接触するようになっていますが、これを絶縁シートの内側に入れて、ダイキャストブロックと接触しないようにモータを収納します。
ダイキャストブロックを組立てる時、右側のブロックと導通するビスに赤のリード線を、左側に黒のリード線を共締めします。ビスはブロックと左右逆になることに注意して下さい。
これで、搭載完了です。矢印は車両の向きを示しています。DT100等のスロットルで、方向ランプが「緑色」の時、矢印の方向に走ります。
先ずは動力ユニットを分解します。コンデンサは不要なので除去します。電気回路は燐青銅板で一体化されているので、モータ部分だけ独立するようにマーキングした位置で3分割します。
左右それぞれの台車にあたる部分をジャンパ線で結び、右側に赤、左側に黒リード線をハンダ付けします。また、モータ部分の右側に橙、左側に灰リード線をハンダ付けします。
ハンダ付けの終わった3分割された燐青銅板を元の位置に戻します。この時、そのままですと、走行中にずれてしまいますので、瞬間接着剤などで固定しておきます。
モータを挿入して、元通りに組立てれば搭載は完了です。
デコーダの搭載が完了し、車体と干渉しないような位置にテープ等で固定すれば完成です。